ニーデックスと二軸押出機の比較
はじめに
当社の「ニーデックス」と「サーファー」は押出機では不可能な高フィラー配合樹脂の連続処理を可能にしました。二本ロールの混練力と押出機の操作性を兼ね備えた混練機です。
洗浄・整備性が良く、熟練工のノウハウが不要な連続型の二本ロールです。
当社混練機の位置付け
※あくまで目安になります。詳しくは当社までお問い合わせください。
二軸押出機との比較
両機の決定的な違いは“せん断面積”です。
二軸押出機の場合、二条ねじの場合でも4箇所の作用域があります。さらに、作用部が長い(L/Dが非常に大きい)ので、大きなせん断面積となります。
それに対し「ニーデックス」のせん断面積はニップ部の小さなものでしかありません。せん断面積が小さいからこそ大きな応力を得ることができます。
上記の式で混練に作用するせん断応力(σ)と力(F)を概算することができ、力(F)にロールの半径を乗ずればトルクとなります。
二軸押出機で「ニーデックス」と同じ応力を得ようとしても、必要トルクが大きくなり過ぎ、機械的強度が律速となり実現は困難です。
ニーデックス | 二軸押出機 | |
---|---|---|
作用域 | 小 | 大 |
せん断応力 | 大 | 小 |
生産性 | 小 | 大 |
高フィラー配合 | 可 | 難 |
粘度差ある配合 | 可 | 難 |
洗浄性 | 容易 | 難 |
「ニーデックス」と二軸押出機の特徴は上表のようになります。
作用域の違いから「ニーデックス」の方が大きなせん断応力が得られ、高粘度の処理が可能です。このため、高フィラー配合や粘度差のある配合において、二軸押出機では困難な高分散な処理を行うことができます。
実施例:PC/PMMAのポリマーブレンド
非相溶であり粘度差のあるPCとPMMAの溶融混練を行いました。
通常の溶融混練では相分離構造を形成し、透明性が失われてしまいます。
高せん断場での溶融混練において、PCマトリックス中にPMMAが相溶系に近い領域で微分散し、透明性を維持した材料が得られることが報告されています。
1. 処理粘度の比較
「ニーデックス」と二軸押出機で、実際に混練処理を行うと、「ニーデックス」は約150℃、二軸押出機は約280℃で安定運転することができました。それぞれの温度におけるPCマトリックスの粘度を確認すると、二軸押出機に比べ「ニーデックス」の処理領域が非常に高粘度であることがわかります。
また、二軸押出機は処理温度230℃で、トルク限界により運転できなくなりました。
2. せん断応力(σ)の比較
前項1. で確認した、それぞれの処理温度における粘度に、運転中のせん断速度を乗して得られる“せん断応力”を比較しました。二軸押出機の安定運転時に比べ、「ニーデックス」のせん断応力は約20倍となりました。
3. DSC測定結果と写真比較(参考)
粘度差の大きいPCとPMMAの混練結果です。
「ニーデックス」で処理すると、明らかに二軸押出機よりも透明な混練品が得られました。
示差走査熱量測定器でDSC測定した結果、「ニーデックス」はTg(ガラス転位点)のピークがブロードとなり、二軸押出機よりも混和が進行している可能性が示されました。
4. DSC測定結果と写真
粘度差の小さいPCとPMMAを「ニーデックス」で混練しました。
PCを粘度がPMMAに近い品種に変更してみると、Tgがさらに低下し(PMMAのTgに近づいた)、透明性も向上しました。この結果より、PCマトリックス中にPMMAが光を透過する領域である100nm以下の相溶系に近い状態で微分散していることが示唆されました。
「ニーデックス」の強力なせん断力が、ナノオーダーでの分散や分子レベルでの相溶を可能にするポテンシャルが示されました。
ポリマーブレンド、ポリマーアロイの溶融混練プロセスの新たな可能性を「ニーデックス」で創造して下さい。
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