粉砕機に使われる材質について
はじめに
ビーズミルを選ぶとき、粉砕室の材質を選定する必要があります
- 摩耗性
- コンタミを嫌う場合、耐摩耗性の高い材質を選びます。
材質が硬ければ単純にコンタミ量が減るわけではありませんので処理物に応じた材質を選定します。
- 耐食性
- 溶媒によって材質の向き、不向きがあります。必要であればテストピースで浸漬テストを実施し材質を検討する必要があります。
- 処理物との相性
- 熱の発生しやすい処理であれば熱伝導性の高い材質、処理物が白色で色付きが気になるなら、ジルコニアなど処理物との相性で材質を選定する必要があります。
を考慮しなければなりません
粉砕室に使われる材質
金属
- SKD11
- 工具鋼の1種。安価。
金属コンタミや着色が問題にならない場合、良く利用される。(硬度:HRC59程度)
錆びやすいため、一般的に水系には使用しない。
- SUS304
SUS316 - ステンレスで錆びにくく、水系、溶剤系問わず使用される。
耐摩耗性を必要としない部品に利用される。
(硬度:HB187以下(HRC10以下相当))
- SUS440B
SUS440C - マルテンサイト系ステンレス。
ステンレスで錆びにくく、水系、溶剤系問わず使用される。
SUS304、SUS316に比べ耐摩耗性に優れる。
(硬度:HRC59程度)
- SUS630
- 析出硬化系ステンレスの代表鋼で、耐食性に優れる。
耐食性が必要な場合、SUS304の代わりに利用する場合がある。
(硬度:HRC40程度)
セラミックス
- ジルコニア
- 耐摩耗材として良く使われる。
靭性が高く破損しにくい為、粉砕アームやスクリーンなどに使われる。
熱伝導率が他のセラミックスに比べ低く、ミル内で発生した熱を取るには向かないためタンクに使われることは少ない。(特に1パス処理)
- アルミナ
- 熱伝導率が高くタンクに使われることが多い。
靭性が低いため衝撃で破損しやすい。粉砕アームに使用することは難しい。
- アルジル
- ジルコニアとアルミナの良いところを併せ持った
セラミックス。靭性はジルコニアに劣るため、チッピングが発生しやすい。
- サイアロン
SIC - 耐摩耗性はジルコニアと同等。熱伝導率も良い。
色がグレーのため白色スラリの場合、色付きが起こる場合がある。
その他
- ウレタン
- 水系スラリの場合に良く使われる。
熱伝導率が非常に悪いためタンクにはあまり使用されない。スラリとの相性にもよるがセラミックスよりも耐摩耗性が良いことが多い。
溶剤では使用不可。
- MCナイロン
- すべての溶剤では無いが溶剤でも使用可能な樹脂。
加工性も良い。色は青と白がある。
- 超硬溶射
- ステンレスの母材に超硬を溶射して耐摩耗性を高めている。膜厚は0.5mm程度が限界。
衝撃を与えると母材から溶射が剥がれることがある。
当社ミルでの実績例
粉砕室材質と分散状態の関係
- ミルのロータ材質によって
分散状態が異なることがあります -
ナイロンロータとSUSロータで同じ処理を実施
材質以外の条件は合わせています。
SUSロータでは処理時間と共に粉砕が進むが、
ナイロンロータでは一定時間経過後、凝集する。
処理物に合わせた
材質選定が
重要である。
粉砕室材質とエネルギー効率の関係
- ミルのロータ材質により
処理物に与えられるエネルギーが異なります -
SKD11、ジルコニア、ウレタンロータで同じ処理を実施
材質以外の条件は合わせています。
一定の粒度にするために必要なエネルギーは、
この有機物体の場合、
SKD11>ジルコニア>ウレタンの順である為
ウレタンの場合が一番効率良く粉砕できる。
但し、 粉砕する素材によって、 エネルギ効率は変わります。
(SKD11やジルコニアが良い場合もある)
処理物に合わせた
材質選定が
重要である。
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