はじめに
ビーズミルとは、粉砕媒体としてビーズを使用した粉砕機である。粉砕室にビーズを攪拌するアーム(ロータ)を設置し、それを高速回転させることでビーズにエネルギー(粉砕力)を与える構造となっている。スラリーが粉砕室を通過する間にビーズの衝突力、せん断力などのエネルギーを受け粒子は粉砕・分散される。
ビーズミルは容器回転方式のボールミルと異なり、ビーズを強制的に攪拌することから、より大きなエネルギーを粒子に与えることが出来る。
ボールミルは、ボールの自然落下による位置エネルギーが粉砕エネルギーであり、ビーズミルはビーズを強制的に攪拌した時に発生する攪拌エネルギーが粉砕エネルギーとなる。その結果、ビーズの質量(径や材質)だけでなく、回転速度でも粉砕エネルギーを調整することが可能になる。
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循環式、連続式(パス式)の特徴
循環式
粉砕室にスラリーを複数回通過させながら粒子を粉砕する方式である。現在、一般的に使用される方法。
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ビーズの接触時間(滞留時間)は粉砕室へのパス回数で決まるので、連続式のミルと比べ粉砕室はコンパクト設計となっている。
それにより、ビーズの動き(エネルギー)のムラ、ビーズの偏り、偏りによる偏摩耗を抑制できる。またスラリーを複数循環させることにより、シャープな粒度分布を持ったサンプルが得られる。
粉砕室を一回も通らない粒子がホールディングタンク内に残らないよう、循環回数は10パス以上を推奨している。
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左のグラフはパス運転と循環運転の比較である。循環式での粒度はD50、D90どちらも循環回数を増やすことで、パス運転の粒度に近づく。また粒度分布に関しても、循環回数を増やすことで分布がシャープになる。
循環運転のメリットはタイマー制御で処理が完了できるところである。ホールディングタンク内にスラリーを仕込み、処理時間を決めておけば無人運転が可能となる。そのため、人件費の削減や、夜間運転なども可能である。
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循環経路内に熱交換機を設置できる為、スラリーの発熱を抑制することが出来、温度制限がある材料の処理も可能である。当社では、スラリーの冷却効率を上げる為、「ダブル循環方式」を採用する場合もある。(特許出願中)
従来の冷却方法よりもスラリーを効率的に冷却すること出来、発熱を格段に抑えることが出来る。それにより、ロータをより高速に回転させても温度上限を超えずに、より高エネルギーを粒子に与えることが出来る。
連続式(パス式)
粉砕室にスラリーを1回しか通さない、1パスで粒子を粉砕する方式である。粒度分布がブロードでも良い材料に使用される方式。
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ビーズ接触時間(滞留時間)を長くとれるようなL/Dが大きいビーズミル(粉砕室が横長)が多い。
粉砕室に供給された分、粉砕されたものが排出していく為、連続生産が可能であり、大量生産に向いている。ただし、1パスで粒子を粉砕する為、粉砕室内部のショートパスが原因で粒度分布はブロードになる。
また、タンクのL/Dが大きい(粉砕室が横長)ため小径ビーズを使うと排出側にビーズ(エネルギー)が偏りやすく、粉砕効率の低下や偏摩耗、局部発熱を起こすことが多い。スラリーの冷却は、粉砕タンクのジャケットのみとなるので、ミル内で生じた熱を抑えることが難しく、大型化すると熱の影響が問題になることがある。
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当社の横型ミルはビーズの偏りを発生を抑える「マルチパス方式」を採用しています。
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