正極材 三元系正極材(NCA、NMC)
はじめに
正極材の中でも、三元系正極材(NCA、NMC)は能力および安全性の面でリチウムイオン二次電池の主役を担っています。今回は、NCA、NMCの特徴と当社の粉体処理技術についてご紹介します。
NCA、NMCの特徴と近年の動向
NCA(LiNixCoyAlzO2)
ニッケル、コバルト、アルミニウムの頭文字を取ったリチウムイオン二次電池の正極材の一種です。
ニッケル系正極材(LiNiO2)の安全性を改良した正極材で、高エネルギー且つ耐熱性に優れた材料です。
NMC(三元系: LiNixMnyCozO2)
ニッケル、マンガン、コバルトの頭文字をとったリチウムイオン二次電池の正極材の一種です。
こちらは、コバルト系正極材(LiCoO2 )の安全性を改良した正極材で、NCAと同様に高いエネルギー密度化を実現しながら安全性も確保されています。
どちらの正極材料にもニッケル、コバルトが含まれており、共通する点が多いです。一般的にはニッケルの含有量が多いほどエネルギー密度が増加します。
近年、獲得競争によるニッケルとコバルトの価格高騰や、安全性がより高いLFPの普及に伴いNCA、NMCはシェア率が落ちてくる予想がされていますが、高エネルギーかつ実用的な安全性、充電効率という点では他の正極材と比べて優れているため、現状ではハイブリット車やEV用のバッテリーの大部分のシェアを占めています。
製造プロセスにおける課題
NCAおよびNMCの一般的な製造プロセスは以下となります。
正極材はリチウムイオン二次電池の能力及び安全性を決定づける重要な要素であるため、乾燥後の含水率(コンマ数パーセント)、粉砕後の粒径(10~100μm)など各メーカーによって厳格な品質基準が存在します。
銅や鉄粉などの金属コンタミは電池の性能、安全性に悪影響を及ぼしてしまうので、製造機器の接粉部は耐摩耗溶射等の対策が必要です。また、水分を嫌うため、不活性ガス置換をしたクローズドラインでの製造も要求されます。
正極材はリチウムイオン二次電池の能力及び安全性を決定づける重要な要素であるため、乾燥後の含水率(コンマ数パーセント)、粉砕後の粒径(10~100μm)など各メーカーによって厳格な品質基準が存在します。銅や鉄粉などの金属コンタミは電池の性能、安全性に悪影響を及ぼしてしまうので、製造機器の接粉部は耐摩耗溶射等の対策が必要です。また、水分を嫌うため、不活性ガス置換をしたクローズドラインでの製造も要求されます。当社ではこのようなナノ~マイクロオーダーでの粉体処理機器の実績、およびクローズドラインのプラント設計の実績があります。
当社機器のご紹介
FMミキサ(混合、分散、乾燥)
【数多くの納入実績による処理ノウハウ】
対流とせん断力で短時間での分散、混合を可能にします。
多くの羽根やオプションを使い分けることで材料、目的毎に様々な処理が可能です。
【耐摩耗処理による金属コンタミ低減】
羽根や混合槽の超硬溶射実績があり、金属摩耗によるコンタミを防げます。
FDミキサ(混合、分散、冷却、乾燥)
【低コスト、省スペースのミキサ】
FMミキサの技術をベースにしたミキサで、
低コスト、省スペースで有りながら
高いレベルでの混合、乾燥が可能です。
【豊富なオプション】
超硬溶射や冷却・加熱フィンなど、ご要望に応じて多くのご提案が可能です。
コンポジ(複合化、球形化)
【超高速回転による粒子設計】
特殊な羽根と高速回転により複合化に特化しています。
【豊富なオプション】
超硬溶射や掻き落とし装置など、ご要望に応じてオプションの提案が可能です。
【正確なスケールアップ】
長年のノウハウに基づいた、ラボ機からのスケールアップが可能です。
ダイナミックミル(乾式粉砕)
〇目標粒子径:3~10 μm
【省スペースの設備化】
省スペースで高効率な粉砕を実現しています。
【2次電池仕様対応】
粉砕室のセラミックス仕様や不活性ガスを用いたクローズドシステムにも対応しています。
ファインミル(乾式粉砕)
〇目標粒子径:0.9~5 μm
【分級機内蔵の効率粉砕】
分級機を内蔵した粉砕機で、より緻密な流度コントロールを可能としました。
【2次電池仕様対応】
粉砕室のセラミックス仕様や不活性ガスを用いたクローズドシステムにも対応しています。
プラネタリミキサ(混合、分散)
【活材スラリーの高分散処理】
多軸攪拌羽根によるニーディング効果で、確実な分散が可能です。
【排出残を少なくする構造】
攪拌域によるデッドスペースがないので、タンク内の排出残が少ないです。
機器導入に関してのご相談から専門的な技術セミナーまで
様々なシチュエーションに対応します。
技術情報には掲載していない情報もお伝えすることができますので、
当社機器にご興味を持たれた方は是非お問い合わせください。