FMミキサを用いたパウダーファンデーションの製造プロセス

はじめに

パウダーファンデーションの湿式製造プロセスでは、乾燥過程において粉体が凝集し、品質に影響を及ぼすことがありました。ここでは、高分散の粉体が得られるFMミキサを用いたパウダーファンデーション製造プロセスについてご紹介します。

パウダーファンデーションの製法

コンパクトケーキ型のパウダーファンデーションの製法においては、混合時にアルコールなどの溶媒を加えて、比較的弱いせん断応力で原料成分を混合する「湿式スラリー法」があります。湿式スラリー法は、油性のUV 吸収剤もナノ粒子も比較的良好に分散し、均一混合することができます。さらに、過剰な油剤が除去されるため、分散性の良い使用感をもたらす効果が得られます。一方で、溶媒の吸引と乾燥工程に課題があります。特に、溶媒の乾燥時に分散していたナノ粒子やUV 吸収剤が、溶媒の体積収縮にともない凝集するため、凝集量をあらかじめ処方する必要があります。その結果、使用感を損なうというデメリットが生じます。

「FMミキサ」を用いたパウダーファンデーションプロセスの紹介

ここでは、当社の「FMミキサ」を用いて、乾燥時の凝集を防ぐための「混合乾燥プロセス」を紹介します。
混合乾燥プロセスは、複合化反応を行ったスラリー混合液をそのまま反応槽内で撹拌を継続しながら、溶媒を揮発除去するプロセスです。槽内に加熱用のジャケットおよび減圧吸引機能を装備することにより、溶媒を揮発し乾燥します。この製法は粉体を旋回気流に乗せたまま乾燥することができるため,薄片板状粉体がラメラ状に配向したまま乾燥仕上げすることができます。そして,乾燥仕上げした粉体は,通常の乾式プレス製法で混合した粉体と同じように充填プレスすることができます。また、アトマイザー微粉砕工程が不要となるため,薄片粉体がもたらす軽くて滑らかな使用感を保持することができます。

下図は、従来法の湿式複合化処理でスラリーを回収し乾燥と再粉砕を経た粉体と、混合乾燥プロセスで仕上げた粉体のSEM画像を示しています。従来法の複合処理粉体はやや丸みを帯びた凝集塊を形成しています。一方で、混合乾燥プロセスで仕上げた粉体は、薄片状の基板面にUV吸収剤とナノ粒子が均一に分散固着した複合粉体の一枚一枚がはっきりと区別でき、ラメラ状の積層構造を形成しています。

さらにUV遮蔽スペクトルからも、混合乾燥プロセスで仕上げた粉体は、少ないUV防御剤で高いSPF値とPA値を達成できることが明らかとなりました。「FMミキサ」を用いた混合乾燥プロセスで仕上げた粉体は、積層構造が肌面で剥離しながら、複合粉体を滑らかにムラなくのばすことができるため、ソフトで軽い良好な使用感とともに高いUV遮断力をもつパウダーファンデーションとなりました。

「FMミキサ」製品ページ


参考)
鈴木高広,塗りムラを防ぐ紫外線防御剤の処方開発と使用感向上,Cosmetic Stage,10月号,16-29,2016
研究協力)近畿大学 鈴木高広 教授

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